2016年4月13日水曜日

パリのたこ焼きブームの火付け役     atsu atsuのオーナー、クリストファー・ ワグナーさん直撃インタビュー

日本のB級グルメとして外せない、たこ焼きとお好み焼き。
上にかける甘辛ソースがフランス人の舌にも合うのだろう、今でこそ、パリ市内に専門店も複数でき、若い世代を中心にスシやラーメン以外の日本食として定着しつつあるが、このブームの火付け役と言えるのが、クリストファー・ワグナーさん。

クリストファーさんは、atsu atsuというたこ焼き店を経営しており、2009年に初めてジャパンエキスポに出展。以来、同イベントで爆発的なヒットを飛ばし、2014年秋には満を持して市内店舗もオープン。まさに現在とてもホットなお店のひとつなのである。

そんなクリストファーさんに、今回お話しを伺ってみた。


まず最初に、クリストファーさんのプロフィールについて教えてください。
学生の時に、エクサンプロバンスの大学で日本語を学んでいたのですが、その時の先生、鈴木先生と仰って今でもエクスの大学で教えていらっしゃると思うのですが、その先生にとても影響を受けまして、ぜひ日本について知識を深めたいと、日本への1年間の留学を決意しました。
日本では福岡の大学に1年間通ったのですが、1996年頃のことで、当時福岡あたりではまだ私のような外国人は珍しかったらしく、街なかで私の顔を見て驚く人たちもたくさんいたことをよく覚えています。

福岡での留学の後に、一度フランスに戻り、マーケティングなどの勉強をした後に、再度日本への留学を決め、京都で8カ月間、語学学校とホームステイを体験し、その後東京で4カ月間、保険会社で研修をしました。

その後にフランスに戻り、matsuri sushiに就職。こちらで6年間、会社の企画や経営に携わり、その後、atsu atsuを設立しました。

なぜたこ焼きをやろうと思ったのですか?
たこ焼き自体は、福岡留学中に初めて食べました。
目の前でジュウジュウと焼かれているその食べ物が一体なんなのか、分かりませんでしたが、興味半分で試してみたら、その美味しさにびっくりしました。
その後、大阪に行った時にお好み焼きも発見しました。
フランスに戻ってから、たこ焼きやお好み焼きがまた食べたい!と思い、どこか食べられるお店がないか、あちこち探したのですが、当時は1件もありませんでしたね。

Matsuri sushi で働いていた時は、もちろんお寿司が専門だったのですが、私が働き始めた2000年頃は、お寿司はとても高級なもので、気軽に食べられるようなものではありませんでした。自分として、なにか、もっと違うものをやってみたい、という気持ちもあり、また当時はたこ焼きやお好み焼きの店をやっている人もいなかったので、だったら自分でやろう!と思ったのがきっかけです。

最初の頃、軌道に乗るまでは大変だったのでは?
Matsuri sushiを辞めた後に、日本のオタフクソースさんで1か月半ほど修行させて頂き、たこ焼きとお好み焼きについて学びました。また、たこ焼きの機械と言うのが、もちろんフランスにはなかったので、フランスで作ってくれるメーカーを探し、メイド・イン・フランスのたこ焼き機も作りました。

その後も準備を重ね、2009年にジャパンエキスポで初めての屋台を出展しました。
心配なこともたくさんありましたし、お客さんに食べてもらえるか不安でしたが、ふたを開けてみたら大成功。
会場では毎日長蛇の列で、自分でも驚くくらい、みなさんに喜んで頂き、本当に嬉しい結果となりました。

経験と知名度を上げるために出展していたイベントですが、現在ではあちこちのイベントオーガナイザーから、「うちのイベントに出展しませんか?」と声を掛けて頂くようになり、今では年間20か所以上のイベントに参加しています。

イベント参加もこなされながら、20149月には、パリ市内にお店もオープンされましたね。

市内の店舗は、atsu atsuを作った当初から構想として持っていたのですが、なかなか良い物件に巡り合えず、45年かかって、やっと今の場所を見つけることができました。
しかも、改装工事に1年半も掛かったんですよ!本当に長かったです・・・

工事が長引いている間に、AKIHappa-tei葉っぱ亭、Okomusuなど、他のお好み焼き屋、たこ焼き屋が次々とオープンしていき、悔しくなる時もありましたが、お店の開店が1番ではなくても、より美味しい、よりサービスの良いお店作りをしていくことが大事なんだと、気持ちを入れ替えて頑張っています。

お店ではどんなメニューを出されているのですか?
お店のメニューは、たこ焼きとお好み焼き以外に、焼きそば、どんぶりものもあります。お好み焼きは、関西風と広島風の両方を揃えています!

そのほかに、枝豆、唐揚げ、クリームコロッケなどのおつまみや、抹茶ティラミス、どらやき、抹茶アイスや黒ゴマアイスなどデザートも豊富に揃えています。

メニューを見ると、たこ焼きはソースが選べて、定番のたこ焼きソース、スパイシーソース、それになんと、柚子ソース!の3種類があります。
たこ焼きに柚子ソースとは、なかなか斬新です!


今後の目標は何ですか?
Atsu atsu で働くスタッフは、日本が好きな人たちばかりです。
自分が好きな日本の良いところを伝え、共有し、広げていきたいと、みんなが思っています。

私はこのお店を、単なるレストランとしてではなく、日本文化の発信、日本が好きな人たち同士の交流の場、としていきたいと思っています。

パリにある日本食レストランは、大きく分けて3種類あります。
1つは、日本人のための、高級な和食料理店。
2つ目は、安価で、あまり質にはこだわらない、アジア系の日本食。
3つ目は、ラウンジ風のおしゃれなデザインにアレンジされているアメリカンな日本食。

Atsu atsuは、このどれにも属さない、新しい4つ目のポジションだと思っています。
つまり、たこ焼き、お好み焼き、どんぶり、抹茶、といった、スシ以外の新しい日本食を提供しながら、同時に、日本を紹介するガイドという役目を担うお店です。

ようやく市内のお店がオープンしたatsu atsuですが、これはゴールではなく、スタートだと思っています。まだまだ、やりたいことはたくさんあるんです!
お店も広げていきたいですし、パリ以外の地方からも、たこ焼き屋をオープンしてほしい!という声も頂いているので、フランチャイズ化しても良いかな、と思っています。


日々、進化していくatsu atsu
56席ある客席は、金・土の週末は満席だとか。
居心地のよい店内は、まさに、日本のくつろぎ居酒屋のような雰囲気で、ついつい長居もしてしまいそうです。
ご来店の際は、事前予約お勧めです!




Restaurant atsu atsu
88 rue de Richelieu 75002 Paris
Tel 09.83.95.30.14
予約用メール reservationrichelieu@atsuatsu.fr
定休日:日曜
時間 11:3014 :3019:0022 :00


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